真っすぐ走る車の代表格、アメリカンピックアップトラック。
今回はその中の最高峰のバトルを解説していこう。
時は2017年、米国BIG3の一角Fordは大ベストセラーであるF-150に”Raptor”を追加。
このF150 Raptor(以下Raptorと略、ただしRaptorはグレード名であって他にもRanger Raptorなどもあり)、450馬力690NmのV6ターボを搭載。
あれ?アメ車のホットバージョンなのにV8じゃないの?と思った方もいらっしゃるでしょう。
先代Raptorはそうでした。
でも当時のピックアップトラックの高出力車と言うと、
F150 の5.0l V8: 395馬力、540Nm
Ram1500の5.7l V8: 395馬力、560Nm
Silverado1500の6.2l V8: 420馬力、620Nm
あたり。V6ターボであってもパワーもトルクもトップ!そしてエンジンの軽さで旋回性もいいよ!というのが売りだったよう。
また、当時の欧州はダウンサイジングターボが全盛で、北米BIG3で最も欧州に近いFordとしては、このEcoboost V6ターボエンジンのポテンシャルを示したかったところでもありそう。
実際、当時のFordのスーパーカー、Ford GTにも同じエンジンが使われていた(ただしそっちは656馬力)。
先ずはそのRaptorの画像を見ていこう。
もちろんフレーム車でリアはリジッドアクスル。そそられますな。
そしてこのぶっといダンパー。
FOX Racing製の別タンです。
実はわたくしこのRaptor、アメリカでちょい乗りしたことがありまして。
「ツルシでレースに出れる」といううたい文句から、いわゆるスポーツカー的な硬さを想定していたら、、
あらびっくり。乗り心地のやさしいこと。微振動から何から全部この太いダンパーが吸収してくれて、
なんて懐の深い乗り味なんだろう、と感心しました。
車重が2.5tとかあるので450馬力でもそんなに馬鹿っぱやいわけではないのはともかく、
せっかくのフルサイズピックアップなのにV6かーというそのエンジンサウンドに少しがっかりしました。
と、私の話はさておき、2017年以降、メーカー純正ホットトラックはRaptorの独壇場が続いていました。
しかし!これを黙って見ているわけにはいかない。
2021年、立ち上がったのはクライスラー。
RAM1500にTRXというスペシャルグレードを追加。
このTRXがすごい。
パワーはなんと700馬力。もちろんアメリカ人の魂とも言えるV8エンジン。
車名のTRXもT.Rex(ティーレックス)から来ていて、Raptorをヴェロキラプトル(小型肉食恐竜)にたとえて、こっちはティラノサウルスだぞ、と。
お前なんて一呑みにしてやるぞ、と。
で、なんとその絵がエンジンカバーに描いてある(笑
センターコンソールにもヴェロキラプトルを皮肉ったティラノサウルスとの比較の絵が。
こっちもぶっといダンパー。
RaptorのはFOX製。TRXはBilstein製。どちらも名門。
Raptorも2021年にモデルチェンジしたのだけれど、エンジンはV6を踏襲。
それもあってか現地で人気の車雑誌Car & Driverでも、Ram TRXの圧勝。
価格はRaptorが$58,135〜、TRXが$71,790〜と、
TRXの方が13万ドル(約180万円)ほど高いけど、この際そんなのは問題じゃねえ!プライドの問題なんだよ!ということなのかな。
もちろん、Fordもこのまま無策でいるわけにはいかない。
Raptorを超えるRaptor Rを開発中ということで、そいつには勿論V8が載る模様。
やっぱりアメリカのこういうガチンコバトルは面白いしウラヤマシイ。
以上!
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