2009年 豊田章男 トヨタ社長は「もっといいクルマづくり」を訴えた。
2012年 トヨタはトヨタニューグローバルアーキテクチャー(TNGA)構想を発表した。
2015年 TNGAの皮切りとして、ZVW50型プリウスを発売
と、年表を書いてみたのだけど、何かと言うと、そう、この辺が日本の車づくりの底だったのではないか、ということ。
例えばカローラのパワステが電動になったのが2000年。
プリウスはもっと早かったけど。
2000年から2015年くらいに出た日本車って真っ直ぐ走るやつが本当に少なかったと思う。
邪推でしかないけどおそらくは、
・燃費向上圧力の高まりで、軽量化に迫られた。
コストも安くなるしで技術系以外からも歓迎された。
・CAE解析の本格化で、計算値以外を軽視するようになった。
数値化すると数字以外を見なくなるというのはどこの世界でもあること。
静的な測りやすい(だから再現性も高い)剛性に目が行って、局部剛性とか動的なモード解析とか、やっていたとしてもその立場が低かったというか。
自信持って言えるだけの知見が揃っていなかったとか。
・高張力鋼板の採用
高張力鋼板は強度は高いけど剛性は普通の鋼と同じ。
座屈や破断といった限界性能は高いけど、通常の曲げに対しては普通の鋼と同じように曲がるということ。
なので、高張力鋼板を使おうが、ボデーを軽量化する場合は、形状を工夫しないと剛性を保てない。
その工夫が上のようにCAEで完璧にできればいいのだけど、剛性と言っても、どの向きの曲げ/ねじりが大事なのか答えが曖昧な状態だったんじゃないかな。
いわゆるねじりより横曲げの方が操安に効くとか、局部剛性の重要性とか、最近は昔と違うことがメーカー側から出てくるようになったし、当時はまだ発展途上だったのではなかろうか。
・電動パワステの普及
これは当初はモード燃費対策だったと思う。
油圧パワステと違って、ハンドル切る力を入れた時だけしかエネルギーを消費しないので。
※モード燃費測定ではハンドル切らない。
今は運転支援や自動運転を見据えての電動パワステ。
電動パワステは今でこそ違和感が減ってきたのだけど、昔はひどかった。
切り始めに壁(操舵反力が大きいところ)があって、それを乗り越えると崖があって(ふっと軽くなって)、その先も摩擦感があって。
もちろん油圧パワステでもかるっかるで手ごたえとか無視したような車もありました。
最近はどうだろう。
高張力鋼板による軽量化とか電動パワステ採用とかも一回りしてノウハウが蓄積されてきたのか、だんだんよくなってる気もする。
そこにはユーザーの声ももちろんあっただろう。
古き良き日本車に追いつく、という目標はもちろんかかげてないだろうけど、そうなるように買った車でも試乗した車でもいいので、ディーラーやメーカー公式サイトとかに声を挙げていってほしい。
技術者側の視点で見ると、自分では製品のダメなところが分かっていて、直し方もなんとなくわかっていても、それが利益に結び付くことが示されなければ予算をとってこれない。
そんなときに「こんなにお客様からの声が届いてます」というのがあると、とっても仕事がやりやすくなる。
なので、技術者のためにもどんどん改善要望を挙げてほしい。
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